2023年8月25日金曜日

コロナ禍後のパリ紀行

「コロナ禍後のパリ紀行」

この三年間はコロナ禍の中で世界の動きがまるで停滞したような気がする。今年にはいてようやく少しずつ再発進を始めるように感じる。

去年の10月から日本も入国規制が緩和され外国人の入国が許可された。コロナ禍発生以来ほぼ三年ぶりの事で、ようやくコロナ禍終息に向かっての一歩かと思う。それは我々の美術分野にも及んでいるようだ。昨年の秋に韓国の油画界の元老で韓国芸術院の会員でいらっしゃる朴洸眞先生から連絡があり毎年パリのグラン・パレで開催される「Salon Comparaisons 2023」に一緒に行かないかとお誘いがあった。韓国のグループもこの二年参加を見送り三年ぶりの参加だとの話であった。コロナ禍も未だ完全に終わってない事と最近の円安で経費の問題もあり戸惑いもあったが、フランスは行ったことが無く前から一度は行きたい所でもありやはり行くことにした。遠いところと言えばイスラエルには行ったことはあるが、ほぼ東アジアだけで生きて来た私には初めての欧米の国である。心を決めてから思うと欧米文化の中心地の一つでもあるパリへの旅と考えるとだんだん嬉しさと言葉に出来ない不安も交差した。

今年のサロン展は214日から19日までの日程で、「グランパレ・エフェメール」というところで開催すると言う。元来の開催場所は1900年開催のパリ万国博覧会際に作られた会場のグラン・パレだとの事だが、設備が古く暖房が出来ないためこの三年かけて内部修理中だと言う。その様な訳で今はエッフェル塔の向かい側に新しく作った「グランパレ・エフェメール」というところを使うと言う。私は一番安いチケットを求め29日に東京を出発し香港経由で10日の朝パリに到着した。翌11日には韓国からのメンバーが来て、私を入れて参加者全員である16になった。今年は久しぶりの参加でもあり韓国からは参加作家全員が来てるようだ。泊まるホテルはエッフェル塔から近いCambronne駅すぐそばにあり便利なところであった。展覧会場であるグランパレ・エフェメールまでは歩いても行ける所である。

12日と13日、二日を掛けて絵の飾り付けをして、翌14日に内覧会があった。その時に分かった事だが以前マネやモネらが参加した「サロン・ド・パリ」やセザンヌやゴーギャン、ゴッホなどの落選者達が参加した落選展と言われてる「アンデパンダン展」など四つのサロンが一堂に開く展覧会でもあった。私が参加した「コンパレゾン展」もその中の一つである。あと一つはデッサンと水彩画を主とする「Salon Dessin Peinture À L’eau」があった。その様な経緯から見れば「サロン・ド・パリ」と「アンデパンダン展」はすでに200年以上の歴史を持っている。「サロン・コンパレゾン」は1960年頃に現代美術系のサロンとして出発したという。そう思うと感慨無量な気分も湧いてくる。会期中では世界各国の作家達が一同に参加し交流があった。私は日本と中国のブースにも訪ねて見たが日本や中国から来た作家は少なくほとんどがパリやニューヨークなど外国駐在の日本人が多かった。こんなに大勢の人が集まる事はコロナ禍以後、初めて見る場面かと思う。フランス自体コロナ規制が完全に解除されたのもあり和気藹々な雰囲気であった。

私は内覧会の翌日から初パリの美術館巡りに入った。最初はやはりルーヴル美術館かと思ってルーヴル、オルセー、オランジューリーなど順次に回ったが二週間の滞在日程でも一か所を二度訪ねる事は出来なかった。本当に多くの美術館や展示作品にはただただ驚きである。それと共にパリ全体の景観や地下鉄等の交通網も驚きであった。ただ一つ公衆トイレが少なく毎回カフェを利用しなければならないことはやはり不便だった。各美術館入場の際には美術家連盟からもらっていたIAAカードが大変役に立った。一部私設美術館や企画展覧会以外は大部分無料で入場する事が出来、費用の節約になった。IAAカードを発行していただいた日本美術家連盟に感謝の意を伝えたい。


2023/03/02

 


ハングル字幕のあるユーチューブ

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